一度読んでみたかったローラン・トポールのショートショート、「カフェ・パニック」をようやく読んでみました。
全38編でちょっと昔の本なので定価は300円。200ページ未満の薄い文庫本です。
訳者あとがきを読むとフランスだけでなく西ヨーロッパでも有名な方なんですって。
イラストレーター、作家、アニメーション作家など、活動は多岐に渡っておられたようです。
先に訳者あとがきについてお話した方が、分かりやすいかもしれません。
訳者の小林茂さん、トポールの作品世界の共通した性質を、「残酷と恐怖が滑稽と皮肉にないまぜられた不条理な笑いの世界」と言っています。分かりやすく言えばブラック・ユーモアですが、これはトポール自身がしっくりいっていなかった表現だったようです。シュルレアリスムってのともまた違うらしい。でも個人的にはブラック・ユーモアって言われた方が分かりやすいです。そういう認識でもあながち間違っていません(;・∀・)
「二重にも三重にも読める表現を話の進行のための単層の訳にとどめざるを得ませんでした」「訳者が見過ごしている遊びが皆無だとは言い切れない」と書かれてあり、訳者の苦労が見えます。実際にトポールと面会された様子も書かれてあり、この訳者あとがきが大変面白かったです。
トポールの人物像と作品の性質が分かりやすく書かれてあります。あとがき先に読んでたら、私なんかは引っ張られてしまって有難がって読んじゃうなぁと思いましたが、私は、本文読んでて、ふむふむエエな・・・と思ったころに、訳者あとがきを読みました。なんかギリギリセーフ(;・∀・)
個人的にはトポールさん、薔薇十字社から出版されたイラスト集、「マゾヒストたち」の方としてしか知りませんでした。
風刺が効いていると言えば良いのか、怖いというか痛そうな絵の数々。なにせちょっと目を背けたくなるようなのもあるんですが、良いんですよね。うわぁ絵うまいーと思ってたんですが、ちょっとググってみると、澁澤はヘタウマ的に評していたようです。自分が絵描けないので、これでもヘタウマになるのか・・・とビックリしました。
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ネットでこの方のイラスト画像を見ては、イイなぁと思っていて、昔から、もうちょっと値段下がれば・・・と思いながら、欲しい時にはちょっと値段が上がってる時期だったりします。だいたい5千円前後ぐらいで取引きされているようです。定価は一体いくらなのか・・・( ´_ゝ`)
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「カフェ・パニック」、タイトルからして良いですが、トポールさんがカフェパニックで出会った変わった人々の与太話を披露する・・・という体裁で話が始まるショートショートです。
胸糞悪い結末のモノもあったりしますが、全編通して洒落た感じがするのは、フランス人が書いてるという先入観のせいかもしれません。
・・・・・いや、これ日本人が書いててもきっと洒落てると思う気がします。たぶん(;・∀・)
安部公房みたいな訳分からん話もあれば、胸糞悪いというか、渡辺温みたいだなって思うのもあって、なかなか良きショートショートを読めました(n*´ω`*n)
オチらしきオチのないものもあるんですが、なんかこれ上手いことを最後に言ってそうだけど、分からん・・・というのがありました。
私の読解力の問題もあるけど、言葉の壁ってやっぱ厚いのです。赤江瀑なんかも、翻訳では良さが分からんのちゃうかな・・・と思うもの(;´・ω・)
フランス語が出来りゃ良いのですが、面白さが少ししか理解できていないようで勿体ないなと思いました。なんか好きそうな作家なだけに特に(´・ω・`)
まぁちょっとだけトポール作品に触れられたのでヨシとします。
トポールの挿絵が見られて、このショートショートが読めるのなら、良きご本です(n*´ω`*n)
(´-`).。oO(訳者が言っていますが、トポールの武器であるところの馬鹿話は短編が向いてるんだって。なんかそんな気がしたー)