40代底辺女の貧困生活

月給15万で・・・貯金ナシ、年金ほぼナシ、資産ナシの母親を養っています。ボロ賃貸暮らし。2019年給料が上がり月給18~20万前後になりました。

間借りしているオッサンのブログ 前に進めないオッサンの グダグダ放浪記

山尾悠子「夢の遠近法」「ラピスラズリ」「歪み真珠」

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Amazonの口コミを見ると、幻想的、硬質な文章、美しい日本語・・・などなど書かれてある、とっても大人気と思われる作家さん、山尾悠子の3冊を読みました。ジャンルはSFというより幻想小説です。

 

昔、好きな作家のことを話した時に、「山尾悠子の夢の遠近法も好きなんじゃないか・・・」なんてことを言われて、ずーっといつかは読もうと思っていましたが、例によってと言いますか、すでに40をとうに超えてしまいました(・・;)

 

私みたいなもんは、文章の良し悪しが分かりませんから、小説を読んでいても比喩だのなんだの、修辞法が受け入れ難い・・・というか、ポカーンとしてしまうことがあります。この方の本も読み進めながらわりとそういうことがありました。

 

難解と言えば難解?・・・とは言え難しい言葉を使っていないのに何を言っているのか分からない作家さんもいますが、そういう感じではありません。

 

私、頭が悪いにも程があって、たしか50ページばかしを読むのに1か月弱もかかった作家さんがいるのですが、山尾悠子はそんなことはありません。でもじっくり読んだ方が良さげな作家さんだったよ(・・;)

 

不思議と目が離せずに、読んでしまいましたが、この作家さんのことを盲目的に好きと言いにくいのは何故なのか・・・これは若い頃に読んだ方が良かったような気がしたよ。せめて20代で読んでいたら、たまらなく好きだったと思います。タイミングを逸した気がしたよ。でもとっても良きご本でした。たぶん。うーん、どうなんだろ。

 

いつも読んでいるような本とは違うから、感想が難しいなぁ。でも、山尾悠子の本は、若い人が読んだらもっと好きになりそうな気がします。

 

近頃、新刊「山の人魚と虚ろの王」が出たそうで、面白そうなので、これも読みたいな。タイトルがもうイイもんね。

 

増補 夢の遠近法 初期作品選

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全13篇。こちらは初期作品が色々読める上に文庫なので手軽です。

 

もっと色々読もうと思うと国書刊行会から出ている「山尾悠子作品集成」です。そちらはお値段9680円。たぶん買っても損はしないと思うのですが、私は欲しい全集があるので、買うとしたら結構後回しになります。宝くじが当たったらどっちも欲しいかな(・・;)

 

感想ですが・・・

 

巻末に、収録作品全ての作者ご本人による解説があり、これがどのクチコミよりも参考になります。澁澤龍彦、倉橋由美子、泉鏡花、谷崎潤一郎、塚本邦雄のお名前が出てくるので、その系譜というかその雰囲気・・・と言われれば、ド素人ながらにそんな気もしました。でも全然違うような気もします。山尾悠子の小説は、山尾悠子の世界だった。

 

収録作「遠近法」「遠近法・補遺」が個人的にはとっても良かったのですが、自作解説によるとボルヘス「バベルの図書館」との表面的な類似に気付いて狼狽されたそうです。

 

「遠近法」を簡単に説明すると、『上下の果てを持たない円筒構造の内部宇宙の話』です。『垂直の空洞を囲む回廊建築群』に人々が暮らしていて、人々はその空洞を通過する、太陽、月、神、有翼人などなどを眺め暮らす・・・というお話です。

 

「遠近法」「遠近法・補遺」の付け足しとして「火の発見」が、後述の「歪み真珠」に収録されています。

 

若書きのせいなのかな・・・いやいや年齢は関係ない・・・なんてことを考えつつ、それでもどういうわけか引き込まれて目を離し難く、一気に読んでしまいました。13篇はどれもこれも・・・ってこともないけど、良かったです。

 

作家の創造物を見せつけられているような気にもなりましたが、嫌な時間ということはなく、読み疲れて本を閉じてもまた開けてしまう、というようなことが何回かありました。

 

ファンの方に怒られそうな感想なので、Amazonのレビューを読んでみてね(・・;)

ラピスラズリ

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全部で5篇からなる物語。5篇は繋がっているようで繋がっていないようで・・・という感じです。

 

解説によると、「夜へ、死へ、滅びへ、冬へとむかう物語ではなく、ゆるやかな循環」の物語ではないか・・・ということが書かれてあって、『あ、そういうこと・・・』と思いました。

 

解説されなきゃよう分からんというのもどうかと思いますが、この物語は人によって受け取り方が違うと思います(・・;)

 

山尾悠子の小説が美しいと感じるのは、読者の理解の為にあるべき必要な部分をそいで・・・というより、不必要なのでしょう。傲慢とは思わず、この作家の様式美のように感じました。1人の作家の宝石箱みたいな小説といや、そうかもしれませんが、好きかどうかは別で、私自身にオススメかどうかもちょっと分からないな。

 

溜息出るほど凄いかというとちょっと難しいのですが、不思議な読書体験。またこの方の本を読んでみようと思います。

歪み真珠

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全15篇。こちらは掌編をまとめた作品集です。バロックなイメージが渦巻く・・・という触れ込み通り、まぁそんな感じ。

 

蛙の王様と蛇の女王様が出てくる掌編、「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」から本が始まります。

 

個人的には受胎告知のお話、「アンヌンツィアツィオーネ」が嫌な感じで良かったですが、この作品集もやっぱりわりとどれも良かったかな(・・;)

 

私は図書館で国書刊行会の単行本を借りましたが、文庫本でも同じタイトル「歪み真珠」が出ています。

 

文庫よりも雰囲気があって良かったです。どうも重いのが面倒で文庫ばかりになってしまいますが、家で読む分には、単行本もイイですね。

 

 

(´-`).。oO(好きな人にはたまらん作家・・・というのはよく分かりましたが、この人のファンと言うのは勇気が必要な気がします。何が良いのか説明できないのですが、私みたいなもんが読んでイイのか駄目なのかも分からなかったよ(;・∀・)